第9のサヨナラ
ガラスの靴じ
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にいけない
その3
中身より
形から
大して
努力もせず
それでいて
結果だけを得る
私には
昔から
そういう
があ
たらしい
夫と結婚することを知らせた時も
周囲の友達からは
玉の輿だと
言われ
やることはやるよね
とずいぶんとや
かまれた
夫と会
たのは
24歳の時のことだ
合コンでもなければ
友達
の紹介で知り合
たわけでもない
それは運命的な出会いだ
ある時
私が担当していたツア
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トラブルが生じた
ツア
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ンダクタ
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が急遽
伝染病にかか
てしまい
フライトできなくな
てしま
それで
急遽
私が同行することにな
一週間の間
死に損ないのお年寄りの相手をするだけ
渋る私を
上司はそう言
て送り出した
そこで出会
たのが
イロ
トを務めていた夫だ
たのだ
結婚式では
一目ぼれ
と表現された出会いだが
夫が
私の何を気に入
たのか
正直
分からない
彼には地位があり
お金があり
将来があ
少なくとも
私以
外にも
選択肢をたくさん持
ていたはずだ
私には
何もなか
だから
過剰な期待を抱かないようにした
期待しなか
たわけじ
ない
大手航空会社に勤めるパイロ
トだ
それはもう
人並みには期待した
ただ
おくびにも見せなか
それは作戦というには
余りにお粗末なものだ
たが
結果的に功
を奏した
夫は
私のそのガツガツしていないところを気に入
てくれたらし
私が結婚すると告げた時
親は
泣いて喜んだ
私も嬉しか
たけど
それより
むしろ安心した
傍から見れば呑気そうに見える私だ
それなりに努力してきた
幸せになるために
誰かと自分を比べてきた
少しでも劣
ている
ところを見つけると心が苦しくな
一生懸命
ているとこ
ろを見つけようとして
また苦しくな
結婚することで
そういう不毛な螺旋階段から降りることができた
そんな気がして
としたのだ
熱帯魚はいいですか
男性が言う
開店までまだ30分ほどあ
見ていて
気分は和みます
確かに
きらきらして
ゆらゆらしてますもんね
きらきらで
ゆらゆら
彼の言葉を口の中で呟く
ふと海辺の景色が
ぼんやりと蘇
いつどこで見たものかは
分からない
ただ
懐かしい光景だ
熱帯魚は
私にと
失われた何か
手放してしま
た何かの象徴なのかもしれないと思
熱帯魚に興味があるんですか
私は恐る恐る聞いた
いえ
別に
彼は笑
カメラマンの方なんですよね
まあ
食べてはいけてませんけど
彼は空を見上げると
まぶしそうに目を細め
熱帯魚
てきれいで
おいしそうですよね
と言
本気か冗談か
よく分からない
面白い人だと思
不思議と
不快さは感じなか
ぶううん
ぶうううん
その時
カバンの中で携帯が振動した
と義母からだ
知子さん
どこで油を売
ているの
お昼の支度なんだけど
任せてもよいのよね
義母は
へりくだりながら
威圧的に言うのだろう
ぶううん
ぶうううん
私はその音を意識から掻き消すように
んなの撮るんですか
と言
彼は
ぶううん
ぶううんと
おも鳴り続ける私のカバンをチラ
と見てから
幸せとか
不幸
せとか
です
と答えた
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