第9のサヨナラ
ガラスの靴じ
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にいけない
その1
めでたしめでたし
から始まる
おとぎ話があ
てもいいと思う
シンデレラ
白雪姫
傘地蔵
花咲じいさん
子どもの頃
読み聞かせてもら
た童話達
どれも
めでたしめでたし
で終わる物語ばかりだ
シンデレラは
どんな風にして
宮中の生活に溶け込んでい
たの
だろう
堅苦しいしきたり
権力争い
たはずだ
欲深い
継母は
お金をせびらなか
ただろうか
王子様は浮気しなか
だろうか
そこには
いろんな苦労があ
たはずだが
それらは描か
れていない
すべては
いつまでもいつまでも
末永く幸せに暮
らしましたとさ
その一文で要約されてしまう
私は
めでたしめでたし
の続きが
知りたいと思う
本当に大切なのは
幸せになることではなく
手に入れた幸せを手
放さないようにすることであ
幸せでい続けることは
幸せに
なることよりも
とず
と難しいことだから
足の指先がひどく痛んだ
久しぶりに
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ルのある靴を履いたせいだ
時計を見る
熱帯魚屋が開店するまで
まだ1時間近くあ
平日の朝早くだというのに
店の入り口から伸びた行列は
すでに
30人以上を数え
駐車場の入り口でタ
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ンして折り返そうとして
いる
ほとんどが
50
60代の年寄りばかりだ
ちらほら
若い人の
姿も見えているが
それも学生と思しき男の子ばかりで
自分のよ
うな年頃の女性は一人もいない
ロキ
ロ周囲を見回していたら
すぐ後ろに並んでいた
クサ
クを背負
た若い男性と
と目が合
私は自分の
胸のうちを見透かされたような気がして
慌てて目をそらした
熱帯魚が欲しい
そう思
たのは
先週末の夕暮れのことだ
私はいつものように
保育園に上の子を迎えにい
たその足で
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に向か
ていた
その日は
ポイントが5倍になる
週に一度の特売日で
店内はひ
どく混み合
ていた
1パ
ク10個入りの98円の
サイズの卵
100
128円の国産和牛カルビ
子供が好きな皮なしのウインナ
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夫が好きなマルミヤのザ
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サイ
100円の見切品のほうれん草
押し合いへし合いしながら
目的のものを手に入れて
レジ袋は
いりません
と5円をポイントに還元してもらい
名前も知らない
スポ
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ツメ
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の名前が書かれたエコバ
クに詰め込んで
さあ
帰ろうとした時
大輔の姿が見当たらないのに気づいた
迷子にな
たのかと慌てて
店の中に戻ると
大輔は
大人達に混
てビニ
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ル袋を
ぐるぐるぐるぐる
ぐるぐるぐるぐる
巻き
ているところだ
私を見とめると
大輔はニコ
と得意げにな
て笑い
ママ
れ物
とビニ
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ル袋の塊を差し出したのだ
よくや
義母なら
そう褒めたかもしれない
私はダメだ
無性に切なくな
1年前までは
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のセ
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ルなんて行
たことなか
行く
必要もなか
私は
小伝馬町にあるマンシ
ンで
夫と大輔
それから生まれた
ばかりの赤ち
家族4人で優雅な生活を送
ていたのだ
南向きの最上階
バルコニ
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付きの3
冬でも温かい床暖房
料理をしながらでも会話が弾むカウンタ
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チン
誰かが訪ねて
きた時のために
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ビスル
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ムも1つあ
セレブとまではいかないけれど
レストランに出かけたら
金額を
気にしないで
好きなものを頼める
それくらいの生活レベルにあ
ビニ
|
ル袋を
ぐるぐるぐるぐるするようなことは
したこ
とも
させたこともなか
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