第8のサヨナラ
夏の日の花火感傷
その2
女の子には
そういう時があるのよ
別にいいじ
ない
裕子さんは庇うように言
そういうのも分からないじ
ないけど
場所ぐらい選んで欲しか
たよ
歩いて数分のところには
小学校時代の友人
知人がたくさん住ん
でいた
なお悪いことに
すぐ傍らには
ラブホテルの入り口があ
6年生の頃
教師が不倫に使
ているという噂がた
たこと
もある
いわくつきのホテルだ
まるで僕が
彼女に
そういうことを強制しているみたいだろ
裕子さんは手を叩いて笑
それから
どうしたの
声を潜める
連れ込んだ
と笑
まさか
僕は首を振る
捨ててきた
そんなこと
僕は電柱の下のカ
プルをあごでし
くる
ああや
て1時間
とそばにいたよ
律儀だね
裕子さんは
うんうんと頷いた
よくや
たとでも言
いたげだ
大沢マキが転校してい
たのは
それからしばらくしてからのこと
中3の今の時期にな
て引
越すなんて
あることじ
噂では
親が会社をクビにな
て夜逃げしたとか
そんな感じ
詳しいことは知らない
その子
ン君のことが好きだ
たんだね
裕子さんは
アイステ
|
をゆ
くり飲みながら言
そうかな
そうだよ
裕子さんが
僕をじ
と見て
くり瞬きをする
本当はそれぐ
らい
分か
てるんでし
翻訳するとそんな感じ
背中の手の届
かないところが
むず痒くな
僕はすでに中身の飲み終えたカ
プを
ゴクリ
喉を鳴らして飲んだ振りをした
裕子さんにもそういうことあるの
裕子さんは優しく微笑むと
あるわよ
それはもう
と言
今でも
今でも
僕は見たことない
ン君には
できないよ
どうして
裕子さんは首を傾げる
理性が働くから
かな
と言
宙を
眺めた
言い争う声は聞こえなくな
たが
プルの話し合いは
依然として続けられている
理性
それは
僕がまだ高校生だから
それもある
それだけじ
ない
それだけではない
僕と裕子さんとは
1年ほど前
東中野にある小さな映画館で知り合
その日
本当なら僕は当時付き合
ていた彼女と
一緒に映画を観にいくはずだ
ドタキ
ンの連絡があ
たのは
前日の夜中
深夜2時を過ぎてからのことだ
明日は雨なの
と彼女は言
それがどうしたの
彼女は
自分はひどい頭痛持ちで
特に雨が降ると
頭がギリギリ
と締め付けられるように痛むのだと説明した
雨が降ると
|
トがキ
ンセルになる
まるで
彦星と織姫みたいだ
僕は
そう言
茶化した
延期しようか
僕がそう言うと
何でそうなるのよ
彼女は突然
怒りだした
意味が分からなか
|
トをドタキ
ンされたのは僕だ
深夜
寝入
ているところを電話で叩き起こされたのも僕だ
彼女の頭が
痛むのは可哀想な話だけど
僕が雨を降らせたわけじ
ない
なぜ彼女が怒るのか
僕にはよく分からなか
ン君のことがよく分からなくな
泣きだした彼女はそう言
一方的に電話を切
そのままベ
ドに横になることもできたけれど
僕は結局
その日
一人で映画を観に行くことにした
理由は上手く説明できない
かと一晩かけて喧嘩をしたのは初めてのことで
僕はものすごく疲
れていた
でも
ここで映画を観に行かなければ
負けのような気
がしたのだ
映画は
全く面白くなか
誰かと誰かが
運命的に恋に落ちる
誰かが喧嘩したり
病気にな
たり
死んだりする
どこにでもあるようでいて
実際にはどこ
にもない
そんな話
好きな女の子と見たら
それなりに面白か
たのかもしれない
でも
僕は一人きりだ
寝てたでし
その日
映画を見終わ
て会場を出たところで
突然
トントンと肩を叩いた女性がいた
花柄のワンピ
|
スに
黒いブ
|
スラ
と背が高くて
見るからに大人の女性
て感じ
ねえ
寝てたでし
それが裕子さんだ
いえ
寝てないですよ
その時
僕は何故だか分からないけど
ウソをついた
やましさもあ
たのだろう
映画を観て寝るなんて
初め
てのことだ
寝てないです
僕は繰り返した
ウソば
裕子さんは声を立てずに笑うと
よか
たら
一緒
にご飯を食べにいかないかと僕を誘
たのだ
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