第7のサヨナラ
夜のヴ
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ジンロ
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その4
彼とは
あれから
一度だけ
電話で話をしたきりだ
会社に行くこともなくなり
と家の中に閉じこも
ていた私に
彼が
何度も何度も
しつこく電話をかけてきたのだ
と無視していたが
その時だけ出てしま
本当に
寂しか
たのだ
彼は
奥さんに感づかれたのは自分の不注意だと言
泣いて謝
それから
仕事まで失わせることにな
てしま
たことにつ
いての謝罪
3年間という過ぎてい
た時間についての謝罪
自分
がも
とし
かりするべきだ
たという謝罪
ておいたら
そのうち
好きにな
てゴメンとか
出会
てゴ
メンとか
生まれてゴメンとか言い出すのだろう
泣かないでよ
私は
彼の言葉を遮
あんたが泣いたら
私は泣けないじ
ないかと思
彼はまたゴメンと言
私はそこで電話を切
あれから
一度も会
ていないし
連絡もと
ていない
電話やメ
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ルはひ
きりなしにかか
てきたが
私は出なか
たし
返事も
しなか
サヨナラはまだ言
ていないが
もう言うこともない
だろう
でも
なんか
すごいよね
レイコが遠い目をして言
何が
みんなが祝
てくれる
レイコだ
て式挙げたじ
ない
レイコは首を振
何か言いかけて
また首を振
ミキと勇太君は
高校も一緒
大学も一緒
足掛け10年の付き合いになる
その長さになぞらえて二人を紹介するなら
司会者が冒頭に言
通り
10年にわたり愛を育んだ
ことになるのだろうが
実際は
そんな単純なものではなか
たはずだ
10年
ミキと勇太君の間には
浮気があ
喧嘩があ
度も別れてはヨリを戻し
同居しては実家に戻る
その繰り返しだ
互いのいいところと嫌なところ
すべてを知り尽くしている
それ
いいことなのか悪いことなのか
私には分からない
けれど
こうや
て形にな
たのを見ると羨ましくも思えた
彼とは
3年間
ほとんど喧嘩することもなか
仲がいいとか
悪いとか
そういう問題ではなか
たと思う
そも
そも
私達には
喧嘩をするための下地がなか
過去がなか
共通の友人もいなか
思い出に花を咲かせるべき
あの頃
がなか
3年間
会社帰りには
ほぼ毎日のように会
ていたのに
一体
何を喋
ていたのか
今はよく思い出せない
六本木ヒルズの展望塔に登
東京タワ
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で一緒に夜景を見た
聖路加タワ
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の最上階で食事した
楽しか
たことは
全部
夜の思い出ばかりで
まるでその暗がり
に身を潜めるように
私と彼は二人
きりで時を過ごした
他の誰
も私たちを見とめる人はいなか
胴上げを終えた勇太君が
気持ち悪いと言
会場の隅に座り込
み始める
ミキが
ドレスが乱れるのを構わず
バケツを持
て走
り寄
ていく
気を利かせた会場の人が
明かりを暗くして
音楽
のボリ
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ムを大きくする
げええ
と勇太君の餌付く声がする
と会場が笑いに包まれる
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もう一回
結婚式やりたいなあ
レイコが大きな声で言う
贅沢言わないでよね
まだ
結婚してない人もいるんだから
マミが答える
私は
笑いながら
泣いた
今とな
ては
もう誰も
私と彼のこ
とを知る者はいない
それが悲しか
たし
悔しか
新郎と新婦がそれぞれのテ
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ブルを回
記念撮影を致します
司会者が言
高砂席から一番近くにあ
私達のテ
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ブルに
ミキと勇太君が近づいてくる
勇太君はすでにベロベロに酔
ていて
ミキにしなだれかかるようにしていた
大丈夫
レイコが聞く
ミキは
肩をすくめて
昨日の夜もず
と飲んでたのよ
と答える
笑顔は絶やさない
朝帰りした
て本当
マミが小さな声で言う
ほんと
信じられないでし
昨日
友達と飲み歩いていて
朝方
て帰
て来たらしい
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ジンロ
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ドもま
すぐ歩けなか
たんだから
とミキは早口で
まくしたてた
みなさん
笑顔で
笑顔で
カメラマンの青年が手をあげて叫ぶ
やはり
まだ慣れていないの
かもしれない
目をつぶ
た人や笑顔がぎこちない人がいたりして
何度も撮影し直した
て笑
その必死な様子がおかしくて
私は笑
後で
ミキに
きちんと
おめでとう
と言おうと思
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