第7のサヨナラ
夜のヴ
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ジンロ
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その2
そういえば
彼も
私の家に来る時だけ
指輪を外していた
どうして
指輪を外すのか
詳しく聞いた覚えはない
コトリ
儀式のように外される指輪には
質問を寄せ付けない重さが感じられた
今にして思えば
連れ合いを亡くした男性が
女性を家に連れ込ん
だ時
昔の奥さんの遺影を伏せるのに
感覚は似ているのかもしれ
ない
彼にも罪悪感があ
たのだろう
奥さんに対しても
そして
私に対しても
彼は
同じ会社の10コ上の先輩だ
すでに結婚して
3歳になる子供もいた
私は
あの頃
行く宛てのない
希望のない不倫をしていた
ナオも行こうよ
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二次会
レイコが言う
会場には
高校時代に好きだ
た歌が流れていた
何と言う題名かは忘れてしま
ミキの好きな
ミスタ
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チルド
レンの歌だ
レイコの手からは
いつの間にか指輪が外されている
私の視線の先に気づくと
レイコはひらひらと手を振
便利で
と笑い
そのために一回り大きなサイズを買
たのだとうそ
ぶいた
レイコは
高校時代から
男の子には積極的だ
接する男によ
コロコロ態度を変える
女子には嫌われていたが
男子には絶大な人気を誇
ていた
今風に言えば
肉食女子というのだろうか
とにかく
たくましか
高校を出た後は
一通り恋愛をし終えたような
大人ぶ
た態度を
見せ
みんなが就活に躍起にな
ている頃には
結婚相手という優
良物件探しに勤しんだ
恋愛と結婚は別だ
と言い切
てはばか
らなか
16も年の離れた金持ちのおじさんと帝国ホテルで盛
大な式を挙げたのは
大学を出てすぐのことだ
周囲は眉を潜めた
本人は玉の輿だと喜んでいた
やめとくよ
私は答える
そんな固く考えることない
レイコが食い下がる
壇上では
マミが
友人代表のスピ
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チをしていた
たらずの甘えた声が
少し震えている
そのうち
泣き出すだ
ろう
きまでは
隣の席でケラケラ笑
ていたくせに
そうい
う子なのだ
マミも
レイコも
指輪
外さないでいいよ
わざわざ外すの面倒臭いでし
指輪
なくな
うかもしれな
いし
だから
つけたままでもいいよ
全然気にならないから
付き合いはじめて
3年が経とうとした頃だ
何の気なしに口にした言葉
それが私と彼にと
何を意味する
のか
何をもたらすことになるのか
よく分からなか
そもそ
自分がどうしたいのかも
私はよく分か
ていなか
彼は
ひどく戸惑
た様子だ
たけれど
私の言うとおりにしてく
れた
そういう人なのだ
一人の人を深く傷つけることよりも
みんなで
少しずつ傷つくことを選ぶ
そういう人なのだ
抱き合
ている時に
キラリと光る結婚指輪が見えると
自分がや
ていることに
心がくすんだ
なぜ
あんなことを言
たのだろう
ナオ
飲みすぎだ
レイコが言う
もしかしたら
そのくすみが
ておけないものになることを望
んでいたのかもしれないと私は思う
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