第5のサヨナラ
おばあち
んが末期がんになりました
その4
ちに来てからというもの
毎日
空を見上げて過ごしている気
がする
信じられないくらいド田舎だけど
まだ
は見ていない
私はリビングに下りた
ママの姿はなか
もう病院に出かけてしま
たのだろうか
私は
台所の食器棚から
ホコリをかぶ
ている小ぶりの皿を取り
出すと
それを持
二階に上がり
部屋の窓を開けた
ちに来て間もない頃
恋人たちの聖地
という
観光名所にパパが案内してくれたことがあ
その山頂の金網には
恋人たちが架けてい
|
トロ
と呼ばれる
何千という錠前で覆い尽くされてい
ロマンチ
クだろうとパパは言
たけど
私には凝り固ま
カラスの糞みたいに見えて
気味が悪か
パパは昔
自分がかけた錠前がどこかにあるとい
探そうとし
たけど
私はそれよりも
少し離れた場所で売られていた
に興味をも
土でできた
一枚100円の安
ぽい皿だ
それに願いを書いて
山に向か
て投げるとかなうらしい
ウソ臭か
たけど
行き場のない私には
お似合いに思えた
おばあち
んが元気になりますように
みゆきに悪い虫がつきませんように
ママの機嫌が直ります様に
パパは
呆れるぐらい大きな声で叫んで
皿を投げた
会社に首を切られ
私やママにも不平不満を言われ
いまさら家を
継ぐことに対しても
叔父さん達に
財産目当て
と散
責められ
たパパは
いつの頃からか
髪の毛に白いものが目立つようにな
ていた
パパが夕陽に向か
みんなが幸せになりますように
て祈る姿は
滑稽さを通りこして
悲しか
みゆきもやれ
て言われたけど
私はダメだ
こんなのウソに決ま
てる
分か
ているけど
心のどこかで
本当かもしれない
て思
ていて
上手く飛ばなか
たら嫌だ
て思
と一生懸命投げようとしてしまう自分が想像で
きて
その姿を誰かに見られてしまうことに
どうしても我慢がで
きなか
どこからともなく
夕焼け小焼けが聞こえてくる
サヨナラ
てち
んと言
たの
越すことが決ま
た日
ママは
よく私に言
たものだ
もしかしたら
もう二度と会うことはないのかもしれないのよ
あの頃は
ナンセンスだ
て思
ママの頃とは時代が違うんだから
て思
実際
見送りに来てくれた子の中には
泣いている子もいて
それ
は哀しいけれど
嬉しくて
私もつられて泣きそうにな
たけど
ぱり泣かなか
というか
泣けなか
だから
私は
またね
て言
明日会うようにして
別れた
本当は
あの時
私は泣き喚いて
サヨナラ
て叫ぶべきだ
たの
かもしれない
太陽が
今まさに
沈もうとしていた
東京の空とは
比べものにならないくらい
とてもキレイな夕陽だ
もし
以前までの私だ
たら
とすぐに写メして
誰かに送
ていただろう
そんなことも思いつかず
体に落ちる
血のような陽だまりの色に
染められて
と温かさに包まれている自分が
悲しいと思
愛おしいとも思
私は
大きく息を吸い込むと
ばかやろう
皿を力い
ぱい放り投げた
皿は
スカ
とするくらい
高く
遠くまで飛んで
消えて見えな
くな
私は
家を飛び出すと
自転車に乗
力一杯漕いだ
途中
ヘルメ
ト姿の中学生とすれ違
中学生は珍しそうに
私の姿をじろじろと見た
私はそれには構わず
夕焼けを漕いだ
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