第4のサヨナラ
君の成長が
嬉しくもあり
寂しくもあ
その4
どうせ
いつしか忘れ去られてしまうなら
壁にもたれかか
背中を向ける君の後姿を見ていると
卑怯と
分か
ていても
本当に死んでしま
た方がいいのでは
そんな風に思う
ガタン
電車が突然動きはじめる
バランスを失
た君を
私は抱きとめた
それは小さく
細い手だ
大丈夫かなあ
君は
照れ臭さを押し隠すようにふと呟く
何が
私は聞き返す
電車にぶつか
た人
その言葉に
私は思わず
てしまう
君は少しむ
とした顔をする
私は慌てて謝る
お母さん
待ちくたびれたから
喫茶店にいる
君は
則子からきたメ
|
ルを
私に見せてくれる
その末文には
風邪引かないように
注意して下さい
という
私宛のメ
|
ジも記されてあ
私はそれを見て
とても切なくなる
則子は
別れた後
私との連絡手段を
のメ
|
ルに限定した
携帯は緊急の時だけと言
|
ルアドレスは教えてもくれなか
あくまでも君を介して
何かを伝えようとする
その徹底ぶりに
当時の母の頑迷さが重な
電車はゆ
くりと
だが
着実に走り出す
何で別れたの
何年後になるか分からないが
いつか
私に尋ねるだろう
その時
私は
なんと答えるだろう
あなたは
父親
てものがどんなものか
ぜんぜん分か
ていな
喧嘩になると
則子はいつもそうや
て私を責めた
私には
どうしても
その言葉が許せなか
でも
それとは反
対に
父親を知らないのだから
うがないじ
ないか
則子には
その一言で片付けようとする私が
許せなか
互いに
傷つけあう生活に耐えられなか
私はいつか君に
ありのままを語ることができるだろうか
電車はどんどんスピ
|
ドを上げていく
君はどんどん大きくな
ていく
停まる駅ごとに
と新たな乗客が乗り込んでくる
車内は息もできないほどに人でむせかえ
私は君を抱き上げると
肩の高さまでかかえあげた
君は嫌が
て体をよじ
たが
私は離さなか
いいんだ
私は言
いいんだ
そういえば
一緒に暮らしていた頃
君がワガママを言うのは
いつも決ま
私と則子が気まずくな
た時だ
その時だけは
明日が来るのが耐えられないとでも言わんばかりに
聞き分けのないことを言
ては
ゴジラのように
そこらじ
うのものをひ
くり返し
暴れまわ
なぜ
今更そんなことばかり
思い出すのだろう
パパ
 
どうしたの
何でもない
私は
君をぎ
と抱き寄せた
君には
たくさん不自由な思いをさせてきた
おそらく
これからも一杯一杯
させることになるだろう
ワガママを
言いたくな
たら
いつでも言えばいい
サヨナラと
言いたくな
たら
いつでも言えばいい
そのためにも
私は
君と会い続けよう
 
つまらない責任感だけが
唯一
愛情を示す術になりうることを
君もいつか知る時が来るだろう
私はそれを心待ちにしている
ホウケイ
て遺伝する
君が言う
私は笑
首を振る
私と君を乗せて
電車は走
てゆく
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