第2のサヨナラ
独身最後
結婚前夜
その3
村田は
俺の知り合いの中で
唯一
離婚を経験している男だ
大学を卒業した後
職場で知り合
た女と付き合いだし
あれよあ
れよという結婚した
できち
た結婚だ
村田とその女は
その事実を隠して式を
挙げた
盛大な式だ
だが
ングドレスが妊婦仕様だ
たのを
知るのは数少ない
離婚したのは
それからわずか3年後のことだ
噂では
職場の後輩と不倫をして
双方の両親を交えた
大立ち回
りを演じたということだ
俺は
村田が離婚した後
一度
その不倫相手とやらに会
たこと
がある
会わせたい奴がいるとい
村田が連れてきたのだ
率直な話
顔立ちも
話し振りも
スタイルも
別れた奥さんによ
く似ていた
名前と年齢が違うばかりで
むしろ違うところを探す方が難しいく
らいだ
村田と飲みに行くというと
ミキはあからさまに嫌そうな顔をした
良からぬ話を吹き込まれると思
たのだろう
別に
ちがキ
バクラに行こうと言
たわけでもなか
どこでもいいから
場末の飲み屋で
思い出話に花を咲かせるはず
要するに
俺たちもずいぶん年をと
たよね
なんて結末が用意さ
れた
くだらない
くだらない思い出話
どこにしようか決めかねていた時
飲んでいきませんか
と黒服の男に誘われた
いや
こいつは明日結婚式だから
と村田が面白が
て答えた
俺が
バクラに行
たことがない
と言うと
黒服の男もそれ
に乗
特別にサ
|
ビスするから寄
てい
てくれと懇願し
特に罪悪感を覚えることもなく
ただ
帰りが遅くな
て心配させ
てはいけないと思
俺はミキにメ
|
ルを打
バクラにいくことになりました
最初はそうや
て打
たような気がする
それではまずいと重い
バクラにいきます
バクラにいくことにしました
消して
消して
結局
帰り遅くなります
とだけ打
返事はない
ねえ
結婚
嫌ならやめれば
店を出る段にな
見送りにきたマキという女が言
嫌で結婚するなんて
相手の人も可哀想だよ
わざわざ店の外まで見送りに来るのも
バクラの仕組みの一つ
なのだろうか
マキという女が
上着もはおらず
胸のはだけた自らの体を腕で抱
きかかえ
寒さに打ち震える姿を見ていたら
それまでの間
感じ
ることのなか
たような居心地の悪さを覚えた
女たちが自分を罵
たり
とお金をよこせと言
たりしてこないことが
ひど
く歯がゆく感じられた
|
村田が向こうの曲がり角にタクシ
|
を見つけたとい
て走
ていく
ていて足元がおぼつかない
時刻はすでに4時を回ろうとしていた
もう少しすれば
太陽がのぼりはじめる
夜明けを外で迎えるのは
ずいぶん久しぶりのことだ
かつて
同じような気持ちで
同じような風景を見たことがあ
と思
たが
それがいつのことなのか
思い出せなか
知らぬ間に
ずいぶん遠いところまできてしま
た気がした
でも
もう戻れないと思うと同時に
戻らなくていいのだとも思えた
嫌じ
ないよ
俺は言
何が
結婚
そう
マキという女は興味なさそうに
でも意地悪そうに言
てるんじ
ないの
彼女
そうかもね
まだ寝ないで待
ているかもしれない
一晩中飲み明かしたことを
たら
眉を潜め
深い溜息をつくだろう
それでも
もう何時
間もしたら
俺達は
純白のドレスとス
|
ツを身にまとい
深紅の
|
ジンロ
|
ドを歩いてゆく
そう考えれば
歯がゆさも
愛しさ
だと思えた
マキ
て名前
本当の名前なの
タクシ
|
が横付けして
ドアが開く
最後に
俺は聞いてみた
ううん
本当はも
と退屈な名前
マキという女は
少し考えるそぶりをしてから
裕子
と小さな声
で言
それは退屈な名前だな
マキという名を名乗る裕子は笑
持田知子には
似ても似つかない顔だ
ドアが閉められ
タクシ
|
が走り出す
女が何かを言
オメデト
だろうか
いや
多分
サヨナラ
だと俺は思
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