第
1
2
最後のサヨナラサヨうであるナラば
、
いざゆかん。
その6
※
女の準備ができるまでの間
、
暇つぶしに
、
室内を撮っ
た。
せめてもの良心というか
、
何というか、
女がこれまで歩んできた
、
人生みたいなものを知
っ
ておこうと思っ
たのだ。
女の部屋は
、
ものすごく汚かっ
た。
自ら
﹁
片付けができない﹂
と評していたが、
それは自嘲でも誇張でもなか
っ
た。
至る所にモノが散乱していた
。
酸
っ
ぱい匂いに満ち満ちていた。
爪先立ち歩いていた足の裏が
、
すぐ黒くなっ
た。
﹁
死ぬ﹂
というからには、
死ぬに値する理由があり、
それと比較対象になるような
、
それなりに幸せだっ
た過去とか思い出とかがあるかと思
っ
たけど、
その部屋からそういう類のものを感じとることはできなか
っ
た。
ただ、
汚いだけだと思っ
た。
ゴミ箱と一緒だ
。
どれだけ長い時間を共に過ごしたとしても
、
ゴミ箱に
、
愛着を抱くことはない。
それは
、
ゴミを捨てるための場所でしかない。
この女が死んだら
、
誰か悲しむ奴はいるのだろうか。
考えた
。
多分、
いないだろうと思っ
た。
だからこそ
、
死にたいのだし、
実際に
、
死んでしまおうとするのだろう。