第
1
2
最後のサヨナラサヨうであるナラば
、
いざゆかん。
その5
※
﹁
で、
どうすればいいの?
﹂
女は言
っ
た。
﹁
リストカッ
トにしようか。
ここで?
、
汚さないようにお風呂場にする 首吊りとか睡眠薬とかは
?
、
できれば、
死に顔が汚いから嫌だけど
﹂
女には
、
自殺願望があっ
た。
これまでにも
、
6度、
自殺未遂を繰り返し、
うち2度は救急車で運び込まれたらしい
。
ブログに
、
赤裸々
に綴られていた。
﹃
今度、
死ぬところ撮らせて頂けませんか﹄
冗談半分でメ
|
ルしたのが二週間前。
スグに返事が来た
。
近
々
、
また死ぬつもりだから、
それを
﹁
ぜひ撮っ
てもらいたい﹂
ということだっ
た。
※
﹁
お好きなやり方で構いませんよ﹂
俺はバカ丁寧に答えた
。
正直言えば
、
死に方なんて、
どうでもよかっ
た。
というより
、
今となっ
ては、
さ
っ
さと死ねばいいと思っ
ていた。
トドのように肥えた
、
不細工な女だっ
た。
鉛を含んだようなドス黒い肌の色をしており
、
噴き出す汗からは
、
小便のような匂いがした。
﹁
ああ、
なんか緊張するわ﹂
女は長い髪の毛を束ねると
、
風呂に湯をはり始めた。
不細工な女は
、
死ぬ時も、
不細工なのだろうか。
風呂場に
、
機材を持ち運びながら考えた。
そんな写真
、
誰も見たがらないだろうな。
肝心の女は
、
死んでしまうから、
作品を見ることができない
。
そもそも
、
俺自身、
見るつもりもなかっ
た。
だ
っ
たら、
何故、
撮影するのだ。
思わず
、
苦笑いがこぼれる。