第
1
2
最後のサヨナラサヨうであるナラば
、
いざゆかん。
その4
※
よりよい被写体を探すのではなく
、
自分から作り出すようにしたのは
、
その頃からだ。
キレイな女に
、
暴飲暴食を強要した。
脂汗と熱気とで化粧がはげる様が美しいと思
っ
た。
自慰行為で
、
絶頂に到達する瞬間と、
直後の瞬間を撮っ
た。
快感と虚しさの一線が
、
人生そのものだと思っ
た。
新宿の大通りで
、
デパ|
トから振り子の大時計を落下させた。
長針と短針が
、
行き交う雑踏の中で、
バラバラになり、
互い違いの方向を指すのを
、
滑稽だと思っ
た。
はじめのうちは
、
頭を下げて撮影を依頼していたのが、
そのうち
、
こんなパフォ
|
マンスをしてみたいと、
向こうから売り込んでくるようにな
っ
た。
そうなると
、
それまで、
酷評していた批評家も、
編集者も、
広告屋も
、
手の平返したように、
面白がっ
てくれるようになっ
た。
一方で
、
批判も増えた。
特に写真家連中には
、
軽んじられた。
現実を映し出してない
、
多くは
﹁
ヤラセだ﹂
﹁
幼稚だ﹂
という意見だっ
た。
※
かつて
、
沖縄のサンゴ礁に自ら傷をつけて、
それを撮影して、
沖縄の環境破壊の現状を訴えたカメラマンがいたらしい
。
その話を聞いた時はバカなことをする
、
そう思っ
たが、
気がつけば
、
自分も似たようなことをしている。
だが
、
それがどうした、
と思っ
た。
たとえば
、
イラクのフセインの銅像は、
政権崩壊時、
民衆とカメラマンによ
っ
て、
8度、
倒されたと聞く。
それをヤラセだというのであれば
、
女のとびっ
きりの表情を収めるために、
何度も何度も、
気が遠くなるまで撮り直す
、
そのこだわりは何とする。
たとえば
、
生まれてこの方、
一度も浮気をしたことがないという、
お固い主婦をラブホテルに連れ込んで
、
初めての浮気を演出したとする
。
そこに臨場感がないという理由で、
自身が女に手をつける、
その手口が汚いというなら
、
メ|
カ|
のイメ|
ジ広告で、
整形顔のモデルに
﹁
自然な笑顔をお願いします﹂
といっ
て、
不自然なまでに、
無数のシ
ャ
ッ
タ|
を切り続けることの厭らしさは何とする。
ありのまま
っ
て何だ、
バカ。
伝えたいものなんて
、
何もねえよ、
バカ。