第
1
2
最後のサヨナラサヨうであるナラば
、
いざゆかん。
その1
※
毎朝
、
駐車場を通るたびに、
車の状態は悪化してい
っ
た。
マフラ
|
には、
枯れ木が詰め込まれ、
バ
ッ
クミラ|
は、
ありえない方向に捻じ曲がり、
ナンバ
|
は、
めくりかけの本のように、
折れ曲がっ
た。
白いボデ
ィ
は、
ホワイトボ|
ドのように、
マジ
ッ
クペンで好き勝手に落書きされた。
見かけるたびに
、
ひどい状態になっ
ていっ
た。
タバコの吸殻が
、
無数に投げ捨てられた花壇。
空き缶が山とな
っ
て、
あふれかえっ
た公園の一角。
ゲロの匂いに充満した路地裏
。
人は
、
捨てやすい場所に、
ものを捨てる。
その変わりゆく姿を
、
写真に収めようと思っ
たことに、
特に理由はない
。
ただ
、
今にして思えば、
日々
傷ついていく車に、
報われない自らを重ね合わせたのかもしれない
。
そう思う。
※
﹁
何を伝えたいのか、
よく分かんないんだよね﹂
当時
、
俺はバイトの合間を縫っ
て、
作品集を作っ
ては、
出版社や広告代理店に売り込みに回る
。
そんな毎日を繰り返していた
。
﹁
なんか、
もっ
と、
こう、
ないの?
﹂
ある写真家は言
っ
た。
作品集を
、
おしまいまで見ることもなく。
ある編集者は
、
立ち読みするみたいにして作品をパラパラめく
っ
て、
一言、
そそられないと言
っ
た。
﹁
時代を感じないよね﹂
あるコピ
|
ライタ|
は、
自分のキ
ャ
ッ
チコピ|
にふさわしくないと言っ
て、
撮り直しを命じた
。
多くは
、
悪意があるとしか思えないような、
辛らつなものばかりだ
っ
た。