第
1
1
のサヨナラ愛の鉄の巣
。
その7
﹁
さぞかし満足でしょ
うね﹂
私は言
っ
た。
ツヨシ君が顔を歪める
。
﹁
こんな結末は予想していなかっ
たよ﹂
﹁
そう?
ゃ
ない﹂
雄也に連れられて初めてここを訪れて来た時
、
﹃
滅茶苦茶にしてやるからな﹄
ツヨシ君は
、
私にそう耳打ちした。
現実に
、
その通りになっ
たのだ。
﹁
悪かっ
たと思っ
てるよ﹂
﹁
ウソばっ
かり﹂
ツヨシ君は笑
っ
た。
屈託のない笑顔だっ
た。
後も先もない
。
感情のままに動く。
雄也が
、
惹かれる理由が、
何となく分かるような気がした。
この少年と一緒にいると
、
心が休まる。
難しく考えずにいられる。
﹁
レイコさん、
これからどうするの?
﹂
どうするのだろう
。
本当に分からなかっ
た。
あの頃には戻れないし
、
戻る気もなかっ
た。
﹁
3人で一緒に暮らすっ
てのはどうだろう﹂
ツヨシ君がそう言
っ
て、
大きく手を広げた。
﹁
ありえない﹂
私は笑っ
た。
﹁
どうして?
っ
ていけると思うよ。
傷付いた者同士﹂
﹁
やめてよ﹂
﹁
どうして?
ゃ
ないんでしょ
﹂
﹁
そういう問題じゃ
ないのよ﹂
﹁
じゃ
あ、
どういう問題﹂
﹁
好きでも、
嫌いでなくても、
離れなくちゃ
いけない時がある﹂
私は
、
ずっ
と、
それを怠っ
てきた。
﹁
僕にはよく分からない﹂
いつか分かるわ
。
という言葉を私は、
すんでのところで飲み込んだ
。
最後の意地
、
とでも言うのだろうか。
人生は
、
騙し騙し生きていくには、
長すぎる。
何かを手に入れるには
、
短すぎる。
厄介なものだということを
、
この少年もいつか知るだろう。
ただ
、
それを教えてやる義理はなかっ
た。