のサヨナラ
愛の鉄の巣
その6
あのアパ
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トでは
ドライヤ
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をかけようとすると
すぐにブレ
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が落ちた
夏になると
よくセミが部屋の中に舞い込んできた
母と一緒に
ネコの額ほどのベランダから
階下に向か
て線香花
火をした
階下の部屋に住む中年の夫婦は
何かあるとすぐに派手
な喧嘩をした
彼らが相手を口汚く罵りはじめると
私は耳をふさ
いで
膝を抱え
小さく丸くな
夜は暗く
終わりがなか
冷蔵庫がぶおおおんと不穏な音を立てていた
中学生にな
た時
初めて私を好きだと言う男が現れた
ニキビ面で
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ジ姿がよ
く似合う高校生だ
夜になると
虫みたいな平べ
たい改造車
で派手な爆音を立てながら
私を迎えに来た
近所の人が迷惑そう
な顔をした
その苦痛に歪む顔が好きだ
だから
好きでも何
でもないくせに
好きな振りをした
男がその気になるのが楽しか
女友達はほとんどできなか
いじめられることも多か
でも
その倍くらい
いじめることも多か
発見は常に
男が与えてくれた
高校生にな
た時
サラリ
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マンの男にハイヒ
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ルをプレゼントされた
世界が一変した
それで通りを闊歩した
男の股間を踏みつけた
快感に顔を歪める男の顔が好きだ
高いところや
離れた場所から見ると
何となくキレイに見える
だけど
本当は薄汚れているの
結局
自分もまた一羽のスズメの巣にすぎなか
たと思
この眼下に広がる
おもち
ような精巧な模型の中で
さえずり
もがきながら
枯れ枝を一生懸命
集めて回
ていたのだ
私は
結局
あのアパ
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トから
一歩も外に出ていなか
たのかも
しれない
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