第
1
1
のサヨナラ愛の鉄の巣
。
その5
※
﹁
バチが当たっ
たのね﹂
私は言
っ
た。
﹁
そんなんじゃ
ないよ﹂
ツヨシ君が言
っ
た。
そんなんじゃ
ない。
繰り返した。
﹁
僕のことが憎い?
﹂
私は首を振る
。
憎しみはなか
っ
た。
ただ
、
悲しかっ
た。
雄也と結婚して
、
ここに移り住んできた時、
もう大丈夫だと思
っ
てしまっ
た自分が、
情けなかっ
た。
ここに越してきた夜
。
家具もまだ何も揃っ
ていなかっ
た。
何もない部屋をネオンが照らし出していた
。
﹃
東京では、
空ではなく、
地上に星が舞う﹄
雄也が言
っ
た台詞が好きだっ
た。
あの頃
、
東京タワ|
が、
間近に見えることが自慢だっ
た。
かすかに見える東京タワ
|
ではなく、
手を伸ばせばつかめる位置にある東京タワ
|
。
それが幸せへの距離と同じだと、
無邪気に信じた。
﹁
ほんと、
きれいだよね﹂
見た目にはあの頃と何ら変わらない
、
夜景を見ながらツヨシ君が言
っ
た。
﹁
汚いのよ。
本当は﹂
私は答えた
。