のサヨナラ
ハルウララ
サイレンスズカ
その8
大けや木に目を細める
今日
ツヨシに別れを告げるつもりだ
会社は上場を目指す
来期には
準備室もスタ
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とする
これ以上
スキ
ンダルのリスクを抱えながら
生き続けるわけにはいかない
ただ
どうや
て切り出していいか分からなか
分からないま
話はおかしな方へ進んでいる
まさか
40も過ぎて
競馬場
人生を賭けることになるとは思わなか
もしかしたら
ツヨシは
何もかも承知の上なのかもしれない
う思
とそうだろうと思
考えたくなか
この瞬間
三笠は何をしているだろう
別れた知己を思
その後
実家のある北陸に移
たと風の噂で聞いた
実家を継いで
母親を介護しながら
制作の下請けなんかをや
ているらしい
先月
一枚
絵葉書が送られてきた
おそらく
体を壊しているという母親と
それから高校生になる娘
と一緒に
おそらくは病院で撮影したものだろう
壁紙が病的なま
でに白か
写真の中の三笠は
見たことないくらい屈託のない笑顔を浮かべて
いて
写真の下には
ただ一言
元気か
とだけあ
バブル真
盛りの最中
浮かれる世間をよそに
互いに
なんか一
発かましてやろう
て願
会社を起こした仲だ
ようやく立ち上げたポ
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タルサイトが
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タトラブルでスト
した時には
三日三晩
客先に頭を下げるために一緒に走り回
掲載クライアントが100件を突破した時は
汗くさい
襟が茶色
くすすけたシ
ツのまま抱き合
て喜んだ
元気か
ねえよ
何だよ
それ
とも元気じ
ねえよ
てるの
ツヨシが言う
俺は首を振
1番だ
俺は言
予想紙も何もないから
どれが人気なのかよく分からない
でも
それでいいと思
自分の人生なのだ
他人がどうこういう問題
ではない
ねえ
もしもさ
ツヨシが言
もしも
ハルウララとサイレンススズカが一緒に走
たら
どう
ていただろうね
一緒に
そんなの勝負にならないだろう
俺は応える
ツヨシは
違う違うと首を振ると
むしろ
いい友達になれたと思
わない
と言
一周
差がついてさ
そしたら
お互い
肩を並べて走
たかも
しれないよね
そうかもしれないな
予期せぬ言葉に
俺も思わず微笑んだ
ツヨシは何が言いたいのだろう
考えた
もしかしたら
そのありえない光景が
今なのだと言いたか
たの
かもしれない
本当のところは分からなか
パンパカパ
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過ぎていく時を告げるフ
ンフ
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レが鳴り響いた
サラブレ
ド達がゲ
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ト入りを始める
きたきたきた
ツヨシがぴ
んぴ
ん小刻みに跳ねる
スクリ
|
ンに1番のゼ
ケンをつけた馬が映し出される
黒光りする
他より一回り小さな馬だ
俺のために走れ
三笠のために走れ
レイコのために走れ
ツヨシのために走れ
みんなのために走れ
そう心の中で何度か呟いて
空を仰いだ
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トが空いて
サラブレ
ドが走り出した
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