のサヨナラ
ハルウララ
サイレンスズカ
その7
あの子と別れて
ツヨシが警察に捕ま
たことを話すと
レイコは
いつかそうなる
と思
てた
と思いつめたような顔をして言
そして
これか
ら警察に引き取りに行
てくるという俺に
自分をとるか
ツヨシ
をとるかを迫
おかしな話だ
あなたはあなたの好きに
私は私の好きに
レイコとの結婚は
誓約ではなく
契約だ
俺達が求めたのは
結婚指輪に示される社会的な役割
いや免罪符
であ
愛ではなか
なか
たはずだ
あの子と別れて
レイコがそう言い出した時
すでに何かがおかしくな
ていたのか
もしれない
早くに気づくべきだ
あの子は
ダメ
危険すぎる
その忠告も
企業の経営者が犯す
スキ
ンダルというリスクと捉
えていたが
俺は見誤
ていた
レイコが言
たのはそれとは違う
ことだ
俺がツヨシにのめりこんでいくことを
レイコはあの
時点で
予言していたのだ
|
フを思い思いに駆け回
ていた馬が
一箇所に集まり始めた
スタ
|
トの号砲はそう遠くない
レイコさんは
裕也さんが好きなんだよ
愛してるんだよ
レイコと俺の間に
そんなもんはない
何のために一緒に生きてるの
便宜上の問題だ
裕也さんは
愛する
てことを甘くみてるよ
ツヨシは
という言葉をよく使う
速く走れるからとい
それが必ずしも幸福とは限らないことを
ているくせに
重力に逆ら
高層マンシ
ンの最上階に住
んだとしても
人は神にはなれないことも知
ているくせに
どう
して安
ぽい
を語るのか
最初は不思議だ
だが
それは愛というものをツヨシが
一度も手に入れたことがな
いからだと気づいてから
それは意外なことでも何でもなくな
ツヨシはこれまで
誰かに愛されたことも
誰かを愛したこともな
いのだ
だから
愛するということがどういうことかも知らない
裸足で駆け回る子供が
遥か彼方の高層タワ
|
のネオンに憧れるよ
うに
ツヨシは愛をただただ尊敬している
全部
捨てち
えばいい
僕も
会社も
ツヨシは
もしかしたら
レイコのことが好きなのかもしれない
ふと思
何度か引き会わせたことがあ
家に呼んだこともあれば
一緒
にキ
ンプに行
てバ
|
ベキ
|
をしたこともある
そういえば
いつもは軽口を叩くくせに
レイコの前ではやけにおとなしか
自分の知らないところで
ツヨシとレイコが
ぽい愛を語り合
ているところを想像してみた
高級マンシ
ンではない
寂れた
家屋だ
畳が磨り減
ている
そう
俺が学生時代に住んでいた
大森のアパ
|
トのように
不思議と
疎外感を覚えることはなか
むしろ
二人にと
ても
自分といるよりも幸せなのではないかと
本気で思
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