のサヨナラ
ハルウララ
サイレンスズカ
その4
俺がツヨシと初めて会
たのは
4年ほど前にさかのぼる
渋谷で開かれていたパ
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会場の外で出会
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ト第三世代とか
当時
世間でもてはやされて
いた
ベンチ
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系の企業家が主催したものだ
俺はもとからそうい
た華やかな場が好きな方ではない
三笠に任
せきりにしてきたが
その日だけはどうしてもと懇願されて参加し
たものの
気づいたら会場の隅でぽつんと取り残されていて
時間
の無駄だと外に出たところ
道端で血らだけで転が
ている若い男
に気づいた
それがツヨシだ
ツヨシは当時
ゲイバ
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で働いていた
上客
をめぐ
同僚とトラブルにな
たらしい
大丈夫か
と心配する俺に
殺しても死なないから
とうそぶいた
当時は
景況感こそよか
たが
相次ぐ競合の乱立に
業績は目に
見えて悪化していた
真綿で締められるような日
を送
ていた頃
ちもさ
ちもいかず
どいつもこいつも本心を語
ているよう
に見えない
猜疑心の塊と化し
北朝鮮からミサイルでも飛んでき
てくれないかと
半ば本気で夢想していた俺にと
自らを
娼だ
と自己紹介するツヨシとの出会いは
ミサイルのような衝撃
ツヨシには
所有する
という意思が決定的に欠けている
実際
俺と付き合い出してからも
何かをねだるようなことは一切なか
家もなければ
車もない
服もない
時計もない
財産もない
なくとも俺が知
ている限り
友達もいない
恋人もいない
自分
の体のことさえ
自分の物だと思
ていない節がある
何故なのかは
分からない
そもそも体を売る
ということは
体を傷つけるということに同じ
大切な自分の持ち物だと思
ていたら
到底できることではな
体を売
ているうちにそうな
たのか
それとも
所有権を放棄し
ているから体を売るようにな
たのか
ツヨシは中学を卒業してすぐに家を捨てて東京に出てきた
俺が知
ているのは
そこまでだ
出会うまでの5年間
どこでどうや
て生きてきたのか
俺は知ら
ない
現在の住処も
名字も
何も知らない
ているのは携帯
の番号だけで
それさえも
俺が無理を言
て持たせたものだ
雄也さん
サイレンススズカ
て知
てる
ツヨシが言
俺は首を振
ツヨシほど競馬に詳しくない
逃げて
差す馬
何だそり
知らない
 
めち
くち
強か
たんだ
ツヨシは
もう10年以上も前の話になるが
当時の競馬界を席巻
した
一頭の美しい栗毛のサラブレ
ドがいたと説明した
ツヨシがはじめてサイレンススズカを目撃したのは
小学生の時だ
当時
家に転がり込んでいた母親の彼氏が
大の競馬好きで
日曜
日の3時になると
いつも
で競馬中継を見ていたらしい
本当は会いたくなか
たんだけど
うど
おやつの時間でし
 
だから
リビングに行かないといけなくて
でも話したくな
いから
をじ
と見ている振りをするんだ
そしたら
お前競
馬が好きなのか
聞いてもいないのに
あれこれ喋るんだよね
年明けのまだ肌寒い季節だ
競馬場の直線を覆
た芝生も
今のような青
とした緑色ではなく
剥げて荒れ散
た岩肌のようだ
たという
サイレンススズカは
スタ
|
トしてからただの一度も他馬に影を踏
ませることなく
圧倒的な大差をつけてゴ
|
ルした
普通
逃げ馬
後半ばてるよね
でも
スズカは違うんだ
さらに伸びるんだ
差す
て言うんだけど
ぐいぐい
ぐいぐい
スピ
|
ドを上げるんだ
その後も
サイレンススズカは
て勝
勝ち続けた
すべ
てのレ
|
スを一番人気として
多くの人
の期待を背負い
それで
もプレ
|
に押しつぶされることなく
期待に応えて
一番に
|
ル板を駆け抜けた
いつも
ちぎりだ
そんなに一生懸命走らなくた
てさ
1位は決まりなんだから
と手を抜けばいいのに
最初から
最後まで
全速力なんだ
強か
たんだな
うん
強か
たよ
壊れそうなくらい
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