第
1
0
のサヨナラハルウララ
、
サイレンスズカその2
※
﹁
会社、
うまくいっ
てないの?
﹂
ツヨシが言う
。
﹁
いっ
ているよ﹂
﹁
ウソだよ﹂
﹁
何で﹂
﹁
雄也さんが僕に会いたいと言う時は、
いつもピンチの時だ﹂
思わず笑
っ
てしまう。
その通りだっ
た。
﹁
儲かっ
てないの?
﹂
いや
。
俺は首を振っ
た。
﹁
その逆だ。
儲かっ
てしょ
うがない﹂
﹁
じゃ
あ何?
﹂
﹁
色々
あっ
たんだ﹂
空を見上げる
。
﹁
あんたとはやっ
てけないっ
て言われた﹂
﹁
誰に﹂
﹁
ずっ
と一緒にやっ
てきた奴さ﹂
﹁
それはショ
ッ
クだ﹂
﹁
社員を半分リストラした﹂
﹁
苦渋の決断だ﹂
﹁
カラスの死骸を投げ込んだ﹂
﹁
・
・
・
どこに?
﹂
﹁
色々
なところに﹂
2年前
、
不況の只中で、
会社はこれまでにない苦境にさらされた。
大学を卒業した後
、
2人で起こした会社だっ
た。
ホ|
ムペ|
ジの製作会社からスタ
|
トして、
気づいたら、
社員も100名を超えた。
I
T
ブ|
ムに乗っ
かっ
て、
I
T
ベンチャ
|
の一つに数えられるようにな
っ
ていた。
リ
|
マンショ
ッ
クの後は、
毎月のように、
売り上げは前月比を下回るようにな
っ
た。
そのうち、
オフィ
スの賃料はおろか、
社員の給与も支払いが滞
っ
た。
大幅なリストラに手をつけざるを得なくなっ
た。
※
﹁
俺は反対だ﹂
三笠は
、
リストラに抵抗を示した。
三笠と俺とは
、
22年前、
一緒に会社を立ち上げた、
言っ
てみれば戦友と言
っ
てもいい仲だ。
﹁
一時の苦境で、
財産を捨ててどうする。
俺達は商品を作っ
て売るメ
|
カ|
じゃ
ないんだ。
財産といえるものは、
エンジニアの技術力ぐらいしかいないだろ
﹂
三笠の決して
、
情に流されているわけではなく、
あくまでも利益ベ|
スで俺を丸め込もうという、
そのやり方が鼻についた。
もともと
、
人権派っ
ていうのだろうか。
選挙の時には
、
共産党に票を入れるような奴だっ
た。
ぶ
っ
ちゃ
けた話、
俺はしらけた。
金がいるのだ
。
新しいことをやるために、
金がいるのだ。
会社を生き返らせるために
、
金がいるのだ。
や
っ
きになっ
て反対されればされるほど、
俺の決意は固まり
、
余計に意固地になっ
た。
﹁
甘っ
ちょ
ろいこと言っ
てんじゃ
ねえよ﹂
俺はリストラを断行した
。
社員は半分に減り、
オフィ
スも半分ほどの広さの場所に移
っ
た。
﹁
お前、
変わっ
たよ﹂
三笠は捨て台詞を残して
、
会社を去っ
ていっ
た。