第1のサヨナラ
大好きな人とのメ
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ルの終わらせ方
その1
大好きな人とのメ
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ルを
どうや
て終わらせたらいいか分からない
お休みなさい
が合図だと言う人もいる
でも
大好きな人が眠りにつくのだ
いい夢を見てね
と返信したくなるのが
道理ではないだろうか
大輔からのメ
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ルは
一向に返
てこなか
私は携帯をマナ
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ドに切り替えると
ドの上に投げ捨て
枕でフタをした
枕に顔をうずめようとしたが
そんなことをしたら
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ルが来る
のを
夢の中まで待
ていなければならないような気がして
そんなのは
嫌だと思
お風呂に入ることにした
問題なのは
私が携帯を肌身離さず持
ていることであ
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ルが来ても
それに気づかなければいいのだと思う
朝にな
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ルが来ていたことに気づき
慌てて
ゴメンね
とメ
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ルするのだ
昨日はお風呂に入
気持ちよくな
そのまま寝ち
でも
んと夢で会
たんだ
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なんち
いつもより温めのお風呂に長く浸かる
私はお風呂が好きだ
歯磨き
洗顔
食事
お風呂の中で何もかもを済ませてしまう
音楽を聞くこともあれば
読書をすることもあるし
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ルをする
こともある
そのために防水用の携帯に新たに買い換えた
お風呂を上がると
髪の毛をドライヤ
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で乾かす
大輔がきれいだと言う
細く
長い髪の毛
私は生まれてこのかた
髪の毛を肩より短くしたことがない
女の子は失恋したら髪の毛を切るというが
私がこれまでそうしなか
たのは
失恋知らずだ
たからとか
そんな大それたものではなく
むしろ
そうしなければならないく
らい
誰かを好きにな
たことがない
という方が正しいと思う
もし
大輔と別れるようなことがあ
たら
私はば
さり髪の毛を
切るだろうか
ついつい枕の下の携帯に目がい
てしまう
私の携帯は着信履歴があれば
全体が薄光りするようにな
ている
光が点
ている様子はなか
返事はもういらないよ
なんて書かなければよか
結局のところ
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ルを終わらせることができるのは
自分が相手を思うよりも
相手が自分のことを思
てくれていると
いう
自信に尽きる
こんなち
ぽけなやり取りの中にも
勝者と敗者はいて
私はそのことにうんざりする
時計は
2時を回ろうとしていた
しがみつく自分の思いを断ち切りたくて
私は携帯の電源を切るこ
とを考える
でも
朝にな
て電源を入れた時
新着メ
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ルは届いていません
て画面を見る方が
と悲しいと思い
ぱり携帯を枕の下に押し戻そうとするが
電池の目盛りが減
ていたので
充電器にさすことにする
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ルにも
あと何回とか
リミ
トがあればいいと思う
それを使い切
たら
今日はもう終わり
どんなにメ
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ルをしたくても
それを伝える手段がなければ
受け取る手段がなければ
苦しまずに済む
期待せずに済む
そのこと
携帯など
この世の中になければよか
たのだ
髪の毛が上手くまとまらない
どうせあと何時間かしたら
また化粧をして
服を着て
会社に行かなければならないというの
鏡の中の疲れた自分を見ていたら
誰かと無性に話したくな
大輔でなくていい
全く違う誰か
どうでもいい人
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ルに返事を返さなくても
これ
ちも気が咎めない
そん
な人
そういえば
サヨナラを言うのを忘れていたことを思い出す
先日
会社を去
てい
た人がいた
右向かいに座
ていた先輩だ
いつも無精ひげが生やしており
乾燥肌だとい
ツの下に手を入れて
所構わずボリボリ掻いた
不潔な奴だ
そいつの机の上は
書類だの
ペンだの
メモ用紙だので
いつも
散らか
ていた
その中に
貯金箱が置かれてあ
オモチ
の景品で当た
たとかいう
ビニ
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ル製の貯金箱だ
そいつは毎朝
出社するたびに
財布の中の小銭をそこに入れた
多くは五円
十円だ
たように思う
でも
一枚一枚
さも大切なもののように
指で強く弾いて入れた
貯金箱が一杯になると
そいつは貯金箱を振
そうすることで見えない空洞や隙間を埋め
そこにさらに
多くの
ぽけな幸せを蓄えようとするのだ
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